文化芸術活動の継続支援事業への申請をお考えの役者の皆さんへ
俳優の皆さんで、文化芸術活動の継続支援事業申請してみようと思ってるけど、めんどくさいって聞くしなあ、って人結構いらっしゃるんじゃないでしょうか?
実際めちゃくちゃ手続きめんどくさいです。
でも、面倒だけどその実はとても筋の通ったありがたい補助金です。
もし迷っているようでしたらこの記事を読んで参考にしていただければです。
ここではめちゃくちゃかいつまんで説明します。
※以下は11/9現在、3次募集までの募集要項に基づいた説明です。今週新たな詳細が発表になるとのことなので、その旨は重々ご了承ください。
■「自分は申請する資格はあるの?」
まず気になるのは、「自分は申請する資格はあるの?」というところだと思います。
これについては「日俳連に判断してもらおう」一択です。
詳しい説明は避けますが、事前確認番号を発行する統括団体ってのがあって、日俳連はその一つです。
ここに確認番号の発行申請して、発行されたらあなたは申請者としての資格ありです。
この確認番号が発行されない場合は、直近三年間の活動実績とか確定申告書とかちょっと面倒な書類をそろえて「私はプロの俳優です」ってことを証明しなくちゃなりません。
ただ日俳連がどういう審査をしているかは不明ですが、客観的に役者の活動してるな、って人にはちゃんと番号おりてるようです。
「役者で食えてるわけじゃないしな…」って引け目は正直関係ないです。
想像ですが、例えば名前で検索して舞台だの映画だのの出演歴があれば役者だよね、って感じじゃないでしょうか。そういう意味では食えない役者について熟知しているのも日俳連ってことですかね。
そういう意味では日俳連で番号が下りなかったら、俳優としての申請はあきらめてもいいかもですね。
番号申請の手続きは簡単です。
ここに必要事項入力して(今追加募集に向けて準備中みたいですね。)
https://www.nippairen.com/
送信したら早い時には翌日に番号発行されます。
■「どんな事業を補助してもらえるの?」
ここがややこしいところで、いくらでも説明することはあるのですが、極力かいつまんで言うと、
「役者続けるためにやったこと」
であることです。
詳細としてとりあえず、パンフレットのもの全部載せますが、役者個人の場合に関わるだろう部分だけ赤字にしてみますね。
① 国内外の観客、参加者等の回復・開拓
・過去の公演の動画配信
・活動実績をまとめた冊子の作成、配布
・CMやPR動画等の制作、配信
・公演、展示のチラシの作成、配布
・展示のギャラリートークや講演会の開催
・美術家の制作活動を紹介するウェブサイトの制作、更新
・制作した作品をまとめた図録の作成、配布 等
② 活動の継続・再開のための公演・制作方法等の検討・準備・実施
・技芸の研鑽のための自主稽古
・技能向上を目的としたリサーチ
・技能向上に関係する資格取得
・活動再開のトライアル公演
・動画配信サイト等を通じた無観客等公演(★)
・インターネットを活用した技芸の研鑽のための共同稽古(★)
・会員向け相談窓口の設置、HPの開設等(★)
・美術関係者向けワークショップの開催 等
③ 雇用契約の明文化等の経営・ガバナンスの近代化
・雇用契約案の作成、電子化(★)
・会計処理に関する講習会の参加
・会計システムの近代化(★)
・行政手続き等に係る書類作成のノウハウ習得 等
ちょっと僕の身近なパターンで通訳しますね。
まず
「公演打つ」 →劇場で芝居やったら、無観客でも公演なので、この補助金の本旨ど真ん中です。
「トライアルってどういう意味?」って疑問もあるかもですが、この時期に公演をやるってこと自体が挑戦=トライアルって認識で結構です。
主催者として上演するのであれば、経費も100万単位になるでしょうからA2での申請をおすすめします。
「配信する」→過去の公演の配信とかはそのまんまですが、例えば舞台なくてひまだからイチナナとかBIGOとかの配信始めて、集客力を養うとか、ファンに顔見せる、とかいうのも取り組みですね。
ただこの場合はどんな経費が計上できるの?ってところですよね。
実際低予算で始めることできるし。
PCやカメラなどの設備の購入はど真ん中ですね。
これを機に既に持ってるものの新調や、専用機の購入とするのも全然ありだと思います。
もちろん転売とかしちゃったらアウトですけど。
注意するのは10万円以上のものとオークション購入のものは補助対象外なんで、「99999円ギリギリの中古Macをソフマップで買う」とかが賢い選択です。
配信アプリのギフト(?すみません僕あんまり詳しくないのですが、仮想通貨的なもののやりとりのことです)はダメとは言いませんが、厳しいだろうと思います。まあ、その仮想通貨機能で経費に計上できる費目(例えば出演料とか)を円単位でその費目と整合性が取れる形で証憑書類がそろえられるなら筋道はあるかもでしょうが…。
ちなみに通信費は計上できません。
「自主稽古」→公演の形でなくとも稽古だけでも申請可能です。「なんのための稽古?」というのが必要になりますが。
あとはダンス教室やアクションクラブ、ボイストレーナーに通ったとかも対象なので、これをレッスンを受ける機会にしてもいいと思います。それで役者のスキルが上がれば文化庁も本望でしょう。
という感じで、結構いろんなことを取り組みとして扱ってもらえます。
要は「役者事業継続のため」という枠組みがあるか否かですね。
■計上できる経費とできない経費
そんなこと言うと「じゃあなんでも役者の修行じゃん!」と言い出すのは役者のあさましいところ。
そのあたりは、結構上手に作られてます。
まず飲食関連はほぼ対象外です。
確定申告と違って接待交際費的な費目はないです。
唯一、会議費という費目での、1人150円までの飲料だけが認められてます。
(いわゆる「消えもの」小道具については、今僕が取り扱った案件で現在審査してもらってるところです)
逆に、あ、できるんだってのが交通費。
舞台なくなって、エキストラとかの現場増やしたって人も多いかと思います。
稽古場とかの往復交通費は補助対象です。
へー、でも立証書類どうするんだろ、と思って事務局問い合わせてみたところ
領収証が無い場合、稼働記録と、最短ルートのスクショ情報で可とのことでした。
集めるの結構大変だけど、これ今までのお客さんの分やっとけばよかったって盲点ポイントでした。
ごめんなさい。
マスク・消毒液・体温計 これは今年かかりましたよね。ここについては補助率100%なんで、領収証ちゃんと保管してあれば忘れずに計上しときたいところです。あとPCR検査も同じく100%なんで「オカネないからなあ」って人は活用を検討してみてはどうでしょう。
あと忘れると損しそうなのが衣装。
ダンスシューズやステージ衣装はもちろんですが、俳優業では衣装自前のことも多いですよね。
スーツ持ってない人がスーツそろえておく、なんてのも立派な取り組みだと思います。
数万円のピアス、とか趣味性が高くなってくるとどう判断されるかわかりませんが、これも上手に活用したいところです。
で、結構聞かれるのが家賃。家賃は不可です。
「稽古場代として計上できない?実際稽古場として使ってるし」的な状況の場合、僕の判断ですが、
「貸主が稽古場と認識して貸している実態が証明できれば可能性あるかもね」と答えています。僕は不動産業上の法律は明るくないですが、賃貸借契約書とか求められてうしろめたいようだったら変な欲は出さないことです。家賃は不可と明記してあります。
以上、ここまでの経験を踏まえて足早で説明しました。
参考になれば幸いですが、正直追加募集の募集要項がどう変わるかは未知です。
当然、ここまでの制度上の不備や、紛らわしい申請やインチキに対する対策を講じた募集要項になってることと思われます。
ただ「芸術家を助けよう」って本旨は大変ありがたいところなので、正々堂々と活用して、コロナ後の文化芸術活動を盛り上げてほしいものです。